05、芳野 【藤井竹外】

古陵松柏吼天飈
山寺尋春春寂寥
眉雪老僧時輟帚
落花深処説南朝

【詩の解説】

古びた御陵のほとりの松や柏は、吹き渡るつむじ風に、ごうごうと音を立てている。
如意輪寺のあたりに春の景色を訪ねてきてみると、境内には人の影なく春はすでに過ぎてしまって真にさびしい。
眉まで真っ白な老僧、庭を掃くその手をやめて、散りし切る花びらの中で、南朝の昔を語ってくれた。

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